ひらがな・カタカナ地名の中国語表記

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外国から日本を訪れる人が増え、インバウンド関連の翻訳・チェック業務を手がけることが多くなりました。観光地の案内や自治体が発行する生活情報の冊子、ご当地グルメからゴミの出し方まで、私たちの手元には色んな情報がやってきますが、そうした翻訳をしていて困るのがひらがなやカタカナを含む地名です。日中翻訳の場合、私は次のような原則に従って作業を進めています。

原則：ひらがな・カタカナ表記の地名は、その由来が一般に広く知られている場合や当該自治体の公式サイトで中国語表記が確認できる場合、漢字表記とするが、そうでない場合はローマ字表記とする。

以下に例を示します。

• さいたま市　→　埼玉市
• つくば市　→　筑波市
• ユーカリが丘　→　Yukariga丘（×桉木丘）
• 千葉市美浜区ひび野　→　千叶市美滨区Hibi野（×日比野、×篊野）

3番目の例のように地名に含まれる植物名などを中国語にして独自の訳語を作成することは避けます。
4番目の「ひび野」はノリ養殖で用いられる「篊（ひび）」に由来することから「篊野」という表記を使いたくなりますが、一般によく知られているとはいえないため、ローマ字表記にします（でないと「郵便物が届かない！」などの事態を招きかねません）。

また、地名に含まれる「之」や「が」については下記のように処理します。

• 「の、之、ノ」は「之」にする
  例：宮の坂（宮之坂、宮ノ坂） → 宫之坂
• 「ヶ、が、ツ、つ」は削除する
  例：緑ヶ丘 → 绿丘、五ヶ瀬町 → 五濑町、七ツ山地区 → 七山地区、四ツ谷駅 → 四谷站
  ※ただし、上掲のユーカリが丘やひばりヶ丘のようにひらがな・カタカナ地名に含まれる場合は、Yukariga丘のようにローマ字化します。
• 「々」は省略されている漢字に戻す
  例：等々力 → 等等力

以上が大原則なのですが、割とよく目にする地名について、毎回調べるのは面倒ですので、Wikipediaのひらがな・カタカナ地名を参考にひらがな・カタカナ地名の簡体字表記と繁体字表記の一覧表を作成しました。由来がはっきりしている地名が多いので、ほとんどの地名については問題ないと思いますが、*印がついている地名は当て字であったり、中国でよく使われている表記を参考にしていたりしますので正確なものではありません。あらかじめご了承の上、ご自身の責任でご利用ください。なお、ウチの漢字表記はこうじゃない！という間違いがございましたらご教示いただけますと幸いです。