台湾の略字

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先日、アンケートの回答を翻訳した。台湾で行われた講演で実施されたアンケートで回答は繁体字で記されている。私がこれまでに目にした範囲に限られるが、台湾の方の手書き文字は比較的読みやすいように思う。みなさんかっちりとした楷書で、草書で判読が困難な字は目にしたことがない。

ただ、その読みやすい繁体字を見ながら私の翻訳がすらすら進んだかというとそうでもない。読みやすいのだがところどころ見かけない漢字が混ざっているのである。私が仕事で扱う簡体字と繁体字の文書の割合は8:2くらいなので、知らない繁体字があるのは仕方ないが、辞書などに掲載されていない略字が相当数乱入しているのだ。ご存じのように繁体字はとにかく画数が多いので、ささっとメモを取りたいときなどは部首を省略した略字がよく使われる。今回見つけたのは以下のような略字である。

zy

賢明なる読者諸賢であればすでにお分かりのことと思うが、これは「專業」と書いてある。2文字目の業が大胆に簡略化されているのである。本来7画の手間がかかる部分を2画の「又」で代用しているので書く分には楽だろう。読む方は大変だけど。

rang

こちらは「譲」の略字である。アンケートでは「我們」「公司」「他們」などの前にこの字が置かれていて、前後の文脈からあーでもないこーでもないと頭をひねっている内に「あ、譲か!」とひらめいた。右側が「艮」になることもあるようだが、とにかく大胆な簡略化である。まあ、大陸の簡体字が「」であることを考えればかわいいものかもしれないが。

※上掲の画像はGlyphWikiを利用させていただきました。

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