祖母を送る

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祖母が金曜の早朝に亡くなった。

朝のジョギングから帰ってくると母から電話が入り、明日が通夜だという。
ばたばたと用意をして土曜の昼頃、新幹線に乗る。4時間ほどで実家に到着。
喪服に着替え、弟たちとタクシーで会場に向かう。蒸し暑い。
弟たちに近況を尋ね、こちらのことも少し話したが、祖母のことには触れなかった。
会場で両親と合流。ごくろうさま、と言われたが、なんだかよく意味が分からなくて「ああうん」と適当に答える。
祭壇にはたくさんの花と祖母の写真。

通夜に来たおじやおばと挨拶。久しぶりに会うのでずいぶん様子が変わっていてびっくりしたが、それはおそらくむこうも同じだろう。
控え室でみんなががやがやしている間に、祖母の祭壇の前にぼんやり立っていると、急に悲しくなってきて鼻の奥が痛くなった。
祖母にはたくさんかわいがってもらったが、だからどうというわけでもなく、理由などよく分からないのだが、何かがどんと突き上げてきて抑え込むのがとてもたいへんだった。

通夜の後、週明けに納品しないといけない仕事があったので、リュックからノートパソコンを取り出し、祖母が寝ている会場の隣にある控え室で仕事をした。
かなりビールを飲んだし、ウイスキーの小瓶を買ってきて、それをなめながらなのでろくに仕事にならなかった。
両親はひとしきりテレビを見た後、風呂に入って、布団を敷き、あっという間に眠ってしまった。
最近は長時間消えない便利な線香があるので、寝ずの番をする必要はないらしい。

翌朝、葬式が始まる前に墓参りに行った。会場のすぐ裏にうちの墓があるのだ。
しばらく周囲を散策し、会場に戻り、また喪服を着て記帳の受付をした。
私はまったく覚えていないのだが、村の人の中には私のことを覚えている人もいて、「まあお父さんそっくりになって」とか言われるとどうにも勝手が分からず「いやどうもはあ」と頭をかく。

式の後、斎場に祖母を送り、私は東京に帰ることにした。骨上げはしなかった。
東京駅で焼き鯖寿司とチーズケーキを買い、家に帰る。昨夜の食事は寿司だったし、今朝はその残りだったし、確か明日は妻が寿司を頼むと言っていたが、そういうことまで頭が回らなかった。
息子に母と弟たちがくれたおみやげを渡す。先日息子が2歳になったので、それぞれプレゼントを用意してくれていたのである。息子はひとしきりそれらを振り回し、風呂に入って寝た。

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